「死にたい」

「事故りたい」
「後ろから刺されてぇ」


オレと同じく学校復帰に向けて再実習に挑む仲間との会話。


オレはわかる。
この言葉が半分本気だということを。
今なら殺された瞬間だけなら喜んでしまいそうだ。


「すごい…なんかもう理不尽だ…」
「なまらいわれた…」

みんなみたことないような表情。
もちろんオレも。


「やってもやっても認められねぇ…」
「否定されっぱなしだな」
「あのちょっとのことであそこまで言われるなんて…」
「なぁ…なんでオレらこんなんやってんだ?」


3人で夜道をトボトボ歩く。


「もうやってらんない」
「どうでもいいや」
「8時まで残ってこんな…」
「あーアレやんなきゃ…終わる気しねぇ」
「…ハァ」
「とりあえずやるしかないか…」
「そうだな…そんじゃまた月曜」


Y君と別れる。
Aさんとならんでトボトボ歩く。



「なにやっても裏目だな…」
「なんかくやしい…」


すごい悲しそうな、やるせない表情のAさん。
こんな悲しそうなのみたことないな。


「ホントうまくいかないよねー」
「うん…」
「いやでもさー、Aさんオレなんかより全然勉強できてんのになぁ」
「えー?そうでもないよ」
「オレなんてここ数日学校きてなかったじゃん。オレ言われるならわかるけど、Aさんまで同じように言われるなんてなぁ」
「そうだよー。私なんてぜんっぜん!」
「意外とそうなんだな!」
「ええー!?」


とりあえずどうにかしたかった。
Aさんは本気で看護士になりたがってた。
もしここで落ちても、また別の看護学校受けると言っていた。
正直、オレにはそこまでの覚悟はない。
そのAさんが今心がおれそうになっている。
とにかく、どうにかしたかった。


「とりあえず今日帰ったら寝たら?あっ、ホラ彼氏に電話して慰めてもらいなって!今忙しいっつても今日ぐらいいいじゃん!」
「えー、彼氏夜は仕事だよ」
「バッカ、男ならそんな時仕事中でもなんとかアレだよ、もう頑張るよ。メールでもいいからしとけって!アレじゃん、LOVE定額だろ!」


そんなこと話しつつ歩く。


「おっ、ヤマダ電機。ポイントスロットやってっかな。てかバスまだあんのか?」
「大丈夫?車乗せていこうか?」
「あ!いや大丈夫!帰れるよ!」


ホントはヤマダ電機メトロイドゼロミッション買うから
断ったとは、口が裂けても言えません。



「そんじゃ、また月曜なー。今日は彼氏に電話しとけ」
「それじゃまた!!クロラム学校戻ってきてホントよかったよ」
「ええ!?wいやいやオレの方が助かったよ。2人の姿みてなんか安心できたよ。」
「それじゃあまたね!」
「ああ!そんじゃ!」


今日めちゃくちゃ言われて落ち込むハズなんだけどな、
心が軽くなった。
よし、ちょっと頑張ってみっか。



ここ数日休んでた、というのは、実は学校辞めようと思ってた。
やっていけないと、本気で思った。


それだけでなく、家庭内でもそれに関連して色々あったもんで、
それはもう、気が狂ってしまいそうだったなアレは。
頭は混乱して何も考えられず、心は悲鳴をあげていたよ。




全てが、どうでもよくなった。




そんななか、休んでた学校に行くことになった。
先生と話をしていても、うまく話すことができなかった。


とりあえず図書室で勉強を始めた。全く集中できない。
当たり前だわな。



そんな時、AさんとY君が戻ってきた。
うまく話せなかった。
けど2人は普通に接してきた。
その瞬間、ホント安心した。


親ですら、オレの気持ちを察することなく、一方的にプレッシャーを
与えるだけで、家にいることすら苦痛だってのにな。
まぁ2人はこっちの事情なんて知らないんだけどな。


今は落ち着いた。
大丈夫、安心してくれ。


そして今日ですよ。
やっぱり今日もガンガン言われちゃったね。ハハー。



でも今日思った。


人を応援するっていうのは、自分も応援してるってことなんだな。




オレは、応援する人になろう。